臨床研究の結果の信頼性を担保する為に経験豊富なデータマネージャが研究のデータ収集に関する部分についての品質管理についてサポートいたします。
実施計画書作成と並行して症例報告書デザイン等データマネジメントに関する書類を作成することで、実施計画書の不備・不整合が見つかることや、収集データが整理されることがあります。ぜひ、研究立案時からご相談ください。
経験豊富な生物統計家が研究立案から論文発表までの研究過程において、さまざまなサポートをいたします。科学的妥当性のない研究は、いくら研究者にやる気があっても、倫理的とは言えません。実際の統計解析だけでなく、適切な研究デザイン、症例数設計、統計解析方法についてのご提案を含む、研究プロトコールの作成支援も行っています。ぜひ、研究立案時からご相談ください。
データマネージャー、統計家による支援内容としては以下の内容が含まれます。
統計家は、適切な研究デザイン、症例数設計、統計解析方法についてのご提案を含む研究プロトコールの作成支援を実施しており、データマネージャーはそれらの解析に耐えうるデータ収集項目のデザインの支援を実施しています。
「症例報告書」はCRF(Case Report Form)とも呼ばれる、この研究に登録された症例に対して収集するデータの項目を記入する為の様式になります。データの回収方法には大きく2種類あり、紙のCRFを使用して収集する場合と、EDC(Electronic Data Capture)と呼ばれる電子データ収集システムを用いて収集する場合があります。
紙の場合は、複写式になっており、性別、年齢といった項目を紙に記載すると同時に「施設での控え」と「中央への提出分」が作成できる形式もあります。施設で記入されたデータは中央で内容確認の上、改めて問い合わせ(クエリ)を行う事がありますので、記載内容が施設でも確認が出来る事が重要になります。複写式が使用できない場合は、紙データを中央へ提出される際に、施設にて現在の控えを取っておいていただくような事をお願いする事もあります。
一方、EDCを使用できる場合は、性別、年齢といった情報をインターネット上の画面に入力(選択)していきます。施設での入力内容については施設側と中央で共有が出来ますので、施設で入力の控えを残して頂く必要はありません。但し、EDCを使用する場合には監査証跡(When いつ、Who 誰が、What 何を入力したのか)が大変重要となります。ですので、ログインをする為にはユーザID、パスワードでの認証を求められ、またユーザIDについてはグループではなく個人に対して付与されるシステムを使用する事になります。
EDCについては、大阪公立大学では「REDCap」をご利用頂けますので、EDCでの研究実施をご検討の方は是非ご活用下さい。
「症例報告書」と「症例登録票」の違い: 「症例報告書」は性別、年齢といった研究での臨床データ等の収集項目が設定された研究独自の様式(Web画面)になります。一方、「症例登録票」は登録票ですので適格基準、同意取得の有無、同意取得日といった項目を記載できるような様式となります。
症例報告書を作成する時には、研究計画書(プロトコール)や解析計画等を参考に、この研究で必要な項目を網羅できるような様式を作成します。その為、研究者の先生方には研究の内容について色々とご質問させて頂く事になりますが、全ては研究実施中の先生方の負荷を減らす為に必要な時間になりますので、是非ご協力をお願い致します。
データベース構築には以下の作業が含まれます。紙のCRFを使用している場合であっても、EDCを使用する場合であっても作業の内容はほぼ同じになりますが、以降ではEDCを使用した場合を想定しての説明をさせて頂きます。
「データベース構築」、「データベース定義書作成」、「チェック定義書作成」
EDCの場合、「データベース構築」は「入力画面の設計」とほぼ同じ意味になるかと思います。どういった項目が必要なのか、またその項目の入力型、値の範囲をどう設定するのか、といった内容を詰めていき、入力画面を構築します。例えば「性別」を入力する場合、自由記載の項目を指定すると「男・男性・M・M」「女・女性・F・F」といった様々な入力形式が混在する事が考えられます。ですので、「性別」については「選択式」とし、その選択肢として「◎男性 ◎女性」とする。また、その選択型は「択一(複数選択不可)」のタイプにするといったように入力の揺らぎを最小限に抑える方法についてご提案させて頂きます。その他にも、前向きにデータを収集するような項目であれば前述のような選択肢になりますが、例えば後ろ向きに既存データを活用するような研究の場合であれば「◎男性 ◎女性 ◎不明」といった不明の項目を必要に応じて追加する事で、「入力をしていない」のか、或いは「不明である事を確認」したのかといった点を明確にするようなご提案をさせて頂く事もあります。
「データベース定義書」は、このような項目の詳細な定義(項目名、入力の型、範囲等)を一覧表にまとめたものになります。Excel形式の一覧表が多くみられます。
「チェック定義書」は、それぞれの項目に対してどういったチェックを行っているのかをまとめた資料になります。様式に決まりはありませんが、「どういった時に(条件式)」、「どういった動作」が発生するのかについて警告やエラーのメッセージと共にまとめられた資料となります。
「動作検証」は設定したシステムに対して正常な値が入力できるのか、また異常な値が入力された場合に警告が表示されるのかといった確認を行います。システム設定者側でも確認を行いますが、何よりもEnd Userの視点が必要です。これらの動作確認には研究者の視点が必要ですので、是非ご協力をお願い致します。
これらの資料を確認する事で、データの構造、及びチェックの内容(データの質)を第三者が確認する事が可能です。
「割付はどのように行ったらいいですか」「Excelで乱数を発生させてもいいですか」こんな質問をよくいただきます。研究の要の部分なので、失敗してあとで泣くことにならないように、事前にご相談ください。Webシステムでも封筒法でも、ご予算に応じて適切な割付方法のご提案をいたします。割付プログラムの作成、仕様書の作成、割当作業などもお手伝いいたします。
解析計画は、「研究が始まる前に」計画しておきましょう。倫理指針や臨床研究法でも、研究計画書中に記載すること、または統計解析計画書を作成すること、と明記されています。「適切な方法で解析する」という記述は不適切です。どのように書くか迷ったらまずはご相談ください。
研究実施中に実施する業務になり、以下の作業が含まれます。
データマネージャーは、適格性の確認や、適格となった症例のみ研究プロトコールに沿ってデータ収集が行われている事を確認します。また、定期的にデータの集積状況等のレポートを主任研究者・研究事務局に提出する事で、研究が適切に遂行されることをサポートします。
入力状況・内容の確認にはプログラミング言語を用いたロジカルチェックを実施しており、プログラミングについては統計家が統計的視点を取り入れた中央モニタリング用のコードを準備します。統計的な視点を取り入れる事で、不要なクエリの発行を減らし、施設の負担を減らしつつも解析に十分耐え得るデータの質を担保する事を目指しています。
データを元に確認したモニタリングの結果について関係者の方々との共有の為の報告会を開催します。その他にも外部委員会の開催を行う際には、該当の委員会での審議に必要なデータの提供を行います。
研究実施中のデータマネジメント業務についてデータマネジメント計画書通りに実施できた部分、出来なかった部分、出来なかった場合はその理由なども含め記載した報告書を作成します。