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てんかんセンター

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はじめに

てんかんは、脳卒中に次いで有病率が高い神経疾患です。てんかんの診療では、特に小児期には、遺伝子診断に基づいた対応や発達障害への対応、若年から成人期では、就職、妊娠、運転免許などの社会的な問題への対応、併存する精神医学的課題への対応を要する場合があり、さらに高齢化社会の今日においては、認知症や脳卒中を含む神経疾患との合併や鑑別が重要です。また、てんかん重積は救急疾患としての対応も必要となります。正確な診断の観点からも、専門性の高い神経放射線学的、神経病理学的な診断が必要となります。薬剤治療が困難な症例に対しては全年齢において、脳神経外科手術が有効な病態が存在することも知られています。
このように、てんかん診療は診療科の枠を超えた連携が必要である他、看護師、臨床検査技師、医療社会福祉士、精神保健福祉士、連携医療事務など多職種の院内連携が重要です。また、有病率が高い慢性疾患という特徴から、地域医療連携の構築も必要です。しかしながら、多くの施設で行われている診療科単位での診療体制では、患者さまに適切な医療が提供できていない現状がありました。
近年、WHO総会(2015年第68回)での決議、てんかん患者をめぐる交通事故に関する報道、てんかん外科手術の有用性の確立、医療集約化と地域連携の重要性の認識などを契機に、てんかんの包括的な診療の必要性が認識されるようになりました。本大学病院も、日本てんかん学会が「包括的てんかん専門医療施設」として示す施設基準を満たした「大阪市立大学医学部附属病院てんかんセンター」を整備し、日本てんかん学会から認定を受けています。てんかんセンターを通じて、これまで以上に皆さまの健康に寄与する質の高い医療を提供していきたいと考えております。

診療体制

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てんかんセンターの概略図を示します。脳神経内科、神経精神科、小児科、脳神経外科が各部門と協力して検査、診断、治療を行います。緊急性のある場合には、救命救急センター、脳神経内科、小児科が診療に携わります。各診療科にまたがる複雑な病態や背景がある場合には、多科、多職種が参加するてんかんカンファレンスで検討した上で、診療を進めていきます。脳神経外科を中心としたチーム医療による、てんかん手術も積極的に行っています。さまざまな社会支援が必要な場合には患者総合支援センターが案内します。指定難病や小児慢性特定疾患に合併した薬剤治療抵抗性てんかんの診療も行っております。遺伝相談が必要な場合には、当院のゲノム医療センターとの連携を行っています。また、かかりつけの医療機関との連携診療も積極的に行っています。

てんかんの詳しい検査について

てんかんの診断は各種検査と発作症状を総合的に判断することによってなされます。当センターでは、患者さまの病態に合わせて下記の検査を行っています。検査の詳細は担当医にお尋ねください。

1長時間ビデオ脳波モニタリング

てんかんか否かの鑑別、発作症状と脳波対応の確認、手術前後評価などを目的として行われます。入院での検査が必要です。成人では12階東病棟、小児では17階西病棟で行っています。特に、成人でこの検査の設備を整えている病院は限られています。

長時間ビデオ脳波モニタリング

2頭皮脳波

外来で行う30分程度の脳波評価です。3階の生理検査室と小児科外来で行っています。

頭皮脳波

3脳磁図(MEG)

てんかん性の脳活動によって生じる微小な磁場を計測し、発生源を推定する検査です。地下3階のMEG室で行っています。日本で約30台、近畿圏では数台しか稼働していない、希少な検査機器です。

脳磁図(MEG)

4MRI

てんかんを生じる原因を検索する目的の検査です。脳の微細な構造の変化をとらえることができます。高詳細な3テスラのMRI機器を備えています。てんかんに特化した読影技術も大切です。

MRI

5PET、SPECT

てんかんによって変化している脳の代謝や血流の状態をとらえる検査です。当院では、グルコースPET(FDG-PET)、脳血流(ECD)やイオマゼニール(IMZ)SPECTを行っています。

PET、SPECT

6神経心理検査、発達検査

てんかんが脳に及ぼす結果の一つとして高次脳機能や発達変化があげられます。これらを専門的、他覚的に評価する方法です。

神経心理検査、発達検査

内科的治療

てんかんの治療は抗てんかん薬による内服治療が基本となります。近年では新規の抗てんかん薬も相次いで本邦に導入されており、従来の薬剤に加えて新しい内服治療の提案が行えるようになっています。また、ケトン食療法や、乳幼児のウエスト症候群に対するACTH療法なども行っております。

外科治療

薬剤治療で、てんかんが十分に抑制されないときは、外科治療の適応となります。脳神経外科を中心としたチーム体制で、高い発作抑制率と神経機能の温存をはかっています。当センターでは、乳幼児から高齢者までの全年齢層の患者さまに対して外科治療を行っています。手術内容としても、側頭葉てんかんに対する海馬扁桃体摘出術や海馬多切術、焦点性てんかんに対する焦点切除術、脳梁離断術、半球離断術、迷走神経刺激術など、あらゆる種類のてんかん外科治療が行える体制を整えています。

外来受診のご案内

受診を希望される方は、かかりつけの医療機関(病院や診療所)から当院あての診療情報提供書を依頼してください。医療機関から当院の地域連携室(06-6645-2877)にご連絡いただいて診察予約を取っていただく手続きが便利です。診療情報提供書をお持ちになって、直接、初診外来受付に来院いただく形でも診察ができますが、待ち時間が長くなったり、担当医が不在等のため日時の調整をお願いしたりする可能性があります。なお、初診担当は、以下の通りとなります。

  • 診療情報提供書の宛先と初診担当について

    1)てんかんセンター宛の場合
    • 成人(15歳以上) → 脳神経内科(月~金曜)
    • 小児(15歳以下) → 小児科(月曜、水曜)
    • 提供書内容が「てんかん外科手術の検討」や「外科手術後」 → 脳神経外科(月曜、金曜)
    2)各診療科、医師宛の場合
    紹介宛に記載の各診療科、医師が初診診察
    • 神経精神科での診察をご希望の場合には、一旦、脳神経内科、小児科、脳神経外科で初診診察をお受けし、各科から院内コンサルトの形で神経精神科の予約を取らせていただきます。