毎日新聞連載記事 『うつ・50話』
続・第42回 喘息との関係
喘息(ぜんそく)とは、息が喘(あえ)ぐと書き、「鋭い咳(せき)」を意味し、一般的には気管支喘息のことを指します。アレルギー反応や細菌・ウイルス感染などにより気管支の炎症が慢性化することで気道過敏性が亢進(こうしん)します。そしてたばこの煙、寒気、運動、ストレスなど、さまざまな要因が引き金となり、一時的に気道が狭窄(きょうさく)され、発作的な喘鳴(ぜんめい)、息切れ、咳などの症状をきたします。
発作時にはこれらの症状が激しく発現し、呼吸困難や過呼吸、酸欠、体力の激しい消耗などを伴い、時には死(喘息死)に至ることもあります。風邪で喘息の症状が悪化することはよく知られていますが、強い心理的ストレス、さらにはパニック障害やうつ病などの精神疾患により喘息が悪化することはあまり知られていません。喘息患者の30〜40%にうつ病が発症し、併存すると喘息の治療が難しくなり、重症化要因の一つとされています。
また喘息にかかると、発作がいつ生じるか分からないという不安や緊張が絶えず続くため、心が疲弊したり、日常生活や社会生活にさまざまな制約を受けるためにQOL(生活の質)が損なわれ、うつ状態に陥りやすくなります。要するに喘息にかかるとうつ状態やうつ病になりやすく、これらを合併すると、さらに喘息悪化という悪循環に陥ります。治療の難しい喘息の患者さんにうつ病を診断し、もし併存していれば喘息とうつ病の治療の併用が必要となります。抗うつ薬の治療においては、たんを排出することに影響の少ない薬が選ばれます。
次回は慢性疲労症候群とうつについて。

(大阪市立大大学院医学研究科教授・神経精神医学、切池信夫)
毎日新聞 2009年1月10日 大阪朝刊
本原稿は、当院医師により執筆され毎日新聞に掲載された原稿を、毎日新聞社の許可を得て転載したものです。
挿絵は、毎日新聞に掲載された際、添えられたイラストです。
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