毎日新聞連載記事 『うつ・50話』
続・第14回 薬の影響で起こる
薬の影響でうつ症状やうつ状態、ひいてはうつ病を生じることがあります。
薬によるうつ症状の出やすさは年齢、性別、体質、薬の種類、投与量、服用期間にもよりますが、早期に適切な対応が必要です。
そこで、うつ症状やうつ状態をきたしやすいとされる薬剤を紹介します。
まず、血圧を下げる薬の「レセルピン」はうつ症状になりやすいことで古くからよく知られています。この薬は脳の中にある「モノアミン」という神経伝達物質を減少させることで降圧効果をもたらしますが、この物質がうつと深くかかわっていると言われています。
その他、α遮断薬、β遮断薬、カルシウム拮抗(きっこう)薬と呼ばれる降圧薬でもうつ症状を引き起こすことがあります。また、肝炎やがんの治療で使われるインターフェロンもうつ症状を引き起こしやすく、インターフェロンの治療を受けた人で0・1〜5%程度生じ、5%を超えるという報告もあります。
アレルギーや炎症を抑制する副腎皮質ステロイドによりうつ状態になることもあります。その他、アスピリンなどの解熱鎮痛薬、強心薬、抗ヒスタミン薬、抗がん剤、経口避妊薬、抗パーキンソン薬なども対象です。
薬剤の影響でうつになっている場合、通常は原因薬剤を減量するか、中止すれば比較的短期間に症状が改善します。症状が重かったり、持続する場合は抗うつ薬が必要になります。
次回は「買い物依存症とうつ」について。

(大阪市立大大学院医学研究科講師・神経精神医学、橋本博史)
毎日新聞 2008年6月28日 大阪朝刊
本原稿は、当院医師により執筆され毎日新聞に掲載された原稿を、毎日新聞社の許可を得て転載したものです。
挿絵は、毎日新聞に掲載された際、添えられたイラストです。
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