毎日新聞連載記事 『うつ・50話』
第49回 摂食障害と密接に関連
若い女性の病気に拒食症と過食症があります。拒食症は、強いやせ願望や肥満恐怖などのため、「食べない、食べられない」で食べる量が極端に減り、その反動で「食べたら止まらない」と過食しては、体重増加を防ぐために嘔吐(おうと)して、著しいやせとさまざまな心身の症状を生じます。
一方、過食症は、短時間に大量の食物を過食しては、過食による体重増加を防ぐために、過食後に嘔吐や下剤の乱用、翌日の食事制限や絶食などを認めます。しかし、体重は拒食症ほど減少せず、正常範囲内にあります。そして、過食後に無気力感、抑うつ気分、自己嫌悪や自己卑下を伴います。
これらの摂食障害において抑うつ症状を生じることは古くから知られ、うつ病と摂食障害は密接に関連しています。
摂食障害では、急激な体重減少や低栄養状態により抑うつ症状を生じます。さらに、過食や嘔吐後に強い自己嫌悪を伴う抑うつ気分、過食や下剤の乱用などの排出行動を止めた時や、食べ過ぎで体重をコントロールできなくなったと感じた時にも抑うつ症状を生じます。また、治療により体重が増加していく過程においても不安や抑うつ症状を生じます。これらの場合には、抑うつ症状が1日のうちで、または日替わりで、良くなったり悪くなったりと、動揺が激しいことが特徴です。
次回は「うつ病の治療」について。

(大阪市立大大学院医学研究科教授・神経精神医学、切池信夫)
毎日新聞 2008年3月8日 大阪朝刊
本原稿は、当院医師により執筆され毎日新聞に掲載された原稿を、毎日新聞社の許可を得て転載したものです。
挿絵は、毎日新聞に掲載された際、添えられたイラストです。
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