
耳鼻いんこう科では、耳・鼻・のどだけではなく、頸部全般の疾患に対する診断・治療にあたっています。聴覚・平衡感覚・嗅覚・味覚といった感覚の他、発声・摂食・嚥下・音声・言語などの機能を取り扱います。これらは人間が人間らしく生きる上で非常に重要な機能です。また、赤ちゃんから高齢者まで、一生を通じて患者様の生活に向き合います。
(診療科の特色)
鼓室形成術、頭頸部手術、内視鏡下副鼻腔手術など外科的治療を積極的に行うと共に、難聴・耳鳴・めまいなどの神経耳科、アレルギー性疾患や睡眠時無呼吸症候群などの多彩な疾患の診断と治療を行っております。
特に当科では、頭頸部腫瘍と神経耳科疾患の診断と治療に重点をおいて診療をしております。
(社会的ニーズ)
耳鼻いんこう科で扱う頭頸部がん(舌がん・喉頭がん・咽頭がんなど)は喫煙や飲酒の影響もあり、依然減少していません。また、食道がんや胃がん・肺がんなど、別の部位にもがんが合併する重複がんも増加しています。消化器外科・内科や呼吸器科、形成外科などといった他科とも連携して治療にあたっています。
めまい疾患はストレスが関与する疾患も多く、現在増加傾向にあります。薬物治療や理学療法、手術治療とともに、そのような心的因子に考慮して診療にあたっています。
高齢社会にともない難聴や耳鳴でお悩みの方が増えています。難聴は認知症のリスクになると近年報告されており、積極的に補聴器診療を行っております。
慢性中耳炎に対しては内視鏡下に手術を行うことにより低侵襲な治療を目指しています。
アレルギー性鼻炎の有病率は約60%とされています。アレルギー性鼻炎に対する根治治療としてダニおよびスギのアレルギーに対する舌下免疫療法を行っております。
(今後の展望)
頭頸部癌では年間約40例に根治手術を施行し、良好な成績を得ていますが、今後は低侵襲手術や導入化学療法などを積極的に行うことにより、根治拡大手術を回避し、機能を温存した根治治療を考えています。また画一的な治療をすべての患者様に行うのではなく、患者様それぞれの社会的背景や治療後の生活環境などを考慮して、医療者と患者様が一緒に治療方法を考えていく医療を目指しております。
めまい疾患に対しては、器質的な異常だけでなく心因的背景を考慮した治療を積極的に取り入れております。メニエール病の治療では難治の症例に対して、中耳加圧療法や手術など多岐にわたる治療を患者様の希望に応じてすすめていくことを目指しております。
遺伝性難聴に対する診断を積極的におこない、今後の治療の開発に寄与するように努めております。
対象疾患
眼球、脳以外の頭頸部領域の疾患を対象としています。一般的な口腔咽頭疾患や鼻副鼻腔疾患に加え、頭頸部腫瘍に対しては外科的治療、化学療法、放射線療法を集学的に行っています。耳疾患では慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する手術を行っています。
主な対象疾患 |
喉頭腫瘍 |
真珠腫性中耳炎 |
先天性難聴 |
咽頭腫瘍 |
滲出性中耳炎 |
耳鳴症 |
口腔腫瘍(舌腫瘍含む) |
耳小骨奇形 |
顔面神経麻痺 |
唾液腺腫瘍 |
慢性化膿性中耳炎 |
アレルギー性鼻炎 |
鼻・副鼻腔腫瘍 |
好酸球性中耳炎 |
睡眠時無呼吸症候群 |
メニエール病 |
耳硬化症 |
急性・慢性副鼻腔炎 |
良性発作性頭位めまい |
突発性難聴 |
言語発達遅滞 |
前庭神経炎 |
低音障害型感音難聴 |
構音障害 |
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