IL28B遺伝子多型の検査を導入
遺伝子診断によるC型肝炎治療の効果予測

 遺伝子とは、すべての生物の設計図であり、4つの記号(A, T, G, C)を複雑に配列させて生命を維持していくために必要な情報を伝えています。2001年にヒトの遺伝子情報が、すべて解読されました。その結果、医学領域では遺伝子の配列の違いと病気の起こり易さや薬の効き具合さらには副作用の起こり易さなどの研究が盛んに行われています。この遺伝子配列の違いは、遺伝子多型(SNP; スニップ)といい背の高さや髪の毛の色など個人の特徴にも関係していると考えられています。
 C型慢性肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)による病気ですが、感染した患者さんは自覚症状がない間に肝臓が傷つき、25-35年で肝硬変や肝癌に進行することが分かっています。自然にHCVが消えることはなく、ウイルスを排除するためにインターフェロン治療をしなければいけません。しかしインターフェロンは多くの副作用を有しており、また治療期間も半年から1年に及びます。現在、C型慢性肝炎の標準的な治療法はペグインターフェロン(週1回の注射)とリバビリン(毎日内服)です。また市大病院では本年1月からテラプレビル(新しい抗ウイルス薬)を併用して治療を行っています。
 ペグインターフェロンとリバビリンの2剤併用では、40%の患者さんが治癒しますが、20%の患者さんでは治療受けてもウイルスが減らず効果がありません。この治療効果と患者さんの遺伝子多型との関係が、詳細に解析されました。その結果、2009年に名古屋市大のグループはIL28B遺伝子多型と治療効果のない患者さんとの間に非常に強い関連があることを報告しました。同じ結果は、アメリカとオーストラリアからも示され、人種に関係なくインターフェロン治療の応答に共通する遺伝子多型であることが分かりました。今回、市大病院では日本人で報告されたIL28B遺伝子多型(rs8099917)の検査を導入し、先進医療として患者さんへの提供(検査費が必要)を開始しました。
 図1 にIL28B遺伝子の解析結果を示します。遺伝子配列を調べると TT, TG, GGの3つのグループに分けられます。TG, GG型をマイナー型と呼び、治療効果が不良と考えられます。一方、TT型はメジャー型と呼び、計画した治療内容を副作用なく遂行できれば高い頻度で治癒が期待できます。
注意すべきは、遺伝子解析結果の取り扱いです。IL28Bは、C型慢性肝炎へのインターフェロン治療に関係する遺伝子多型ですが、ある意味では究極の個人情報です。従って、他の臨床検査結果と違ってカルテには添付しません。この検査の意味合いを理解していただき、遺伝子解析に同意いただいた患者さんのみに実施させていただきます。

※画像をクリックすると拡大表示になります

図1.IL28B遺伝子解析の結果。
TT, TG, GGの3組の遺伝子多型が存在します。
このうちTTの遺伝子配列のヒトをメジャー型と呼び、TGあるいはGGの配列のヒトをマイナー型と呼びます。

 
本件に関する問合せ先
大阪市立大学医学部附属病院
肝胆膵内科
田守昭博

IL28B遺伝子多型の検査
に携わっている
検査技師と研究者
拡大表示
閉じる