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図説『肝疾患』

肝臓のしくみ

 肝臓は人間のからだの中で脳の次に大きな臓器です。成人で約800〜1,200gあります。
 肝臓の右側の大きい部分を右葉と言い、左側の小さい部分を左葉と言います。
 肝臓は生命活動を維持するためのさまざまな働きをしています。その働きを支えるのが門脈(静脈)と肝動脈の2本の大きな血管です。門脈は、消化管から送られてくる栄養分などの通り道で、肝動脈は肝臓の機能を働かせる酸素を供給するための血管です。肝臓に流れる血液は成人で1分間に約1000〜1800mlにもなります。
 また、肝臓には強い再生能力があり、手術によって4分の3ほど切除しても、数ヶ月すると元の大きさにもどります。このように人間の生命活動の維持に重要な役割を担う肝臓は、どんなにダメージを受けても弱音を吐くことなく働き続けることから、別名を「沈黙の臓器」とも呼ばれています。

肝臓のはたらき

 肝臓は、栄養分を分解・合成したり、余分な栄養分を蓄えたり、有害物質の解毒をしたり、消化吸収を助ける胆汁を生成・分泌するなど、からだの中の化学工場のような働きをしています。
 腸から吸収された栄養分は門脈から肝臓へ送られ、そこで貯蔵・分解・合成され、必要に応じて肝静脈から全身にエネルギーが運ばれます。
 また、血液中のアルコールを分解したり、有害物質を無毒化して胆道から十二指腸に排出する解毒も重要な働きのひとつです。
 肝臓で生成される胆汁は、水分、胆汁酸、コレステロール、リン酸、脂肪酸、ビリルビンから構成されています。この中のビリルビンは、古くなった赤血球を肝臓で水に溶けやすい物質に変化させたものです。
 胆汁はいったん胆嚢に蓄えられ、水分や塩分を吸収して濃縮されてから、食物摂取時に十二指腸へ分泌され脂肪の消化を促進します。

図説『肝疾患』 の解説

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 近年、肝硬変や肝がんに肝炎ウィルスが大きく関与していることが確実視されています。
 このことを踏まえて、どのようにウィルス性肝炎が肝がんへと進行するのかを図で示したのが右の図です。

急性肝炎

 一般的に知られている肝炎ウィルスは、A型、B型、C型の3種類です。A型肝炎ウィルスは経口から感染しますが、B型とC型肝炎ウィルスは血液を介して感染します。
 肝炎ウィルスに感染した肝臓は、ウィルスを排除するために感染した肝細胞をリンパ球が攻撃し破壊します。破壊された肝細胞は胆管から排出されます。この結果、肝細胞が多量に破壊されるため、肝臓の働きが低下し食欲不振、疲労感、吐き気、黄疸などの症状があらわれます。時間の経過とともに破壊された肝細胞が修復され、もとの正常な肝臓にもどります。このような一連の状態を急性肝炎といいます。
 B型肝炎に関する詳しい解説はこちら
 C型肝炎に関する詳しい解説はこちら

慢性肝炎

 急性肝炎で治りきらなかった場合や徐々に発病して行く場合があり、これが慢性肝炎となります。
 慢性肝炎は、特に自覚症状がほとんどないまま約20〜30年で肝硬変や肝がんへと病気が進んでいきます。
 病気が進んでしまうと治療も難しくなるため、できる限り早めに肝炎ウィルス検査を行い、感染していないか確認することが大切です。

肝硬変

 肝細胞が破壊され続け、繊維化した組織に変わってしまいます。通常、肝臓は再生能力が非常に強い臓器ですが、ある程度、肝臓の線維化が進むと正常な状態に戻らなくなり、このような状態を肝硬変といいます。
 肝硬変に関する詳しい解説はこちら

肝がん

 肝硬変やごくまれに慢性肝炎から肝がんが発生します。
 肝がんには肝臓で発生した原発性肝がんと他の臓器から転移した転移性肝がんがあります。
 肝がんは、肺がんや子宮頸がんと並び、主要な発生要因が明らかになっているがんの1つです。最も重要なのは、肝炎ウイルスに対する治療です。
 肝がんに関する詳しい解説はこちら